眠っていたフィルムカメラの起こし方

PENTAX SL

今回はたまたま見つかった、誰かから譲ってもらったフィルムカメラを使ってみようかと考えられている方へ。

題して「眠っていたフィルムカメラの起こし方」です。

こんにちは

1/1フィルムカメラサービス修理者 ハヤシ ショウタです。

2024年になりまして、大掃除や帰省でフィルムカメラが見つかったなんて人も多いんじゃないでしょうか。

見つかったけれど、使えるのかわからない。

このまま使っても大丈夫なの?

などいきなり出てきたカメラを前にどう対処していいものかと悩まれている皆様に僕から少しアドバイスをできればと思います。

今回の記事は初めてフィルムカメラを使うという方にもわかりやすいように書こうと思います。

1.ファインダーの状態

ファインダーの状態はいかがですか?

覗いてみて案外綺麗だったり、ゴミが入っていたり、もやがかかった状態だったり、なんだかよくわからない黒い線が入っているなどいろいろだと思います。

ファインダーをのぞく事は写真を撮るということと切り離せないカメラにとって重要な機構の一つだと思います。更にはカメラを使うモチベーションを左右するところだと思っています。見にくいファインダーはどことなく使う事が億劫になって徐々に使わなくなってきた…なんてこともあるのではないかと思います。

ファインダーを覗いて見にくいのであればそれは清掃すべきだと思います。ええ、とても当たり前のことを言いました。

ファインダーの汚れに関しましても取れるものと取れない物があるので、そちらはご了承ください。

これだけファインダーの重要性を熱弁しましたが、実はファインダーに映る景色とはフィルムに写される景色とは違うのです。

ファインダーの中に黒いゴミのようなものがあります。これは写真の写りに関係しますか?

ファインダーの汚れは写真の写り自体には影響はないです。

(ファインダーから見える汚れは写りません)

ですが、清掃することで視野性もよくなり、使いやすくなります。更にきれいなファインダーは撮影欲を掻き立てます。

2.巻き上げの状態

分解された写真ですみません。

多くは背面から見て右上(右手親指で操作しやすいようになっています)にあるフィルムを巻く部品です。巻き上げはできますか?重くないですか?古いカメラですとレバーの形状ではない物や下についているものもあります。

新しいカメラは省略されており、自動で巻き上げるものもあります。

(1/1では自動巻き上げのカメラは修理ができません。申し訳ございません。)

もちろんこの部品が動かないと写真は取れません。ここが動かないとシャッターも切れません。もし、巻き上げができないのであればセットされた状態にある可能性がありますので、一度シャッターを切ってみてください。

どうでしょう?動きますか?

フィルムカメラの巻き上げができません。修理が必要?

その際は修理が必要になります。

長く時間置いてあったカメラはオイル切れしていることが多く、オイル切れから巻き上げができないのか、電気で動くものは電気が来ていないのか。様々な要因がありますので、一度点検されることをお勧めしています。

3.モルトの状態

裏蓋に貼られた黒いスポンジのようなモノこちらモルトプレーンと呼びます。

フィルムカメラはシャッターを切り、レンズからの光がィルムに写真として像を残してくれます(簡単な説明ですみません)そのためレンズ以外からの光が入ってはいけないのでフィルムが入る空間(フィルム室)は遮光されている必要があります。

そのためにモルトプレーンと呼ばれるスポンジを遮光すべき部分に貼り、フィルム室に光が入らないようにします。

【補足】かなり古いカメラにはこのスポンジのようなモルトプレーンではなく、毛糸が使用されていました。

ですがこのモルトプレーンは劣化します

裏蓋を開けるとボロボロとモルトの残骸が出てくることがありますが、そのままではフィルムが感光する可能性が高いです。

モルトプレーン自体が入っていても長年使われてきて厚みが薄くなり、光が入ることも多々あります。

フィルムが感光するとどうなるのか?

フィルムが感光すると赤く線のようなものが写真に入ってきます。

感光写真が流行ったこともあったみたいですが、修理屋なので感光はNGとしています。

モルトプレーンがボロボロ。修理が必要?

モルトプレーンの劣化は感光した写真の原因となります。

そのためモルトプレーン貼り替えが必要です。そのほかの部分が正常であればモルトプレーンの交換のみの受付もしております。

4.露出計の状態

どのカメラにもついているという事ではありませんが、露出計がついているカメラはファインダーを覗いて、メーターが動いているのが確認できますか?

もし何も動いていないという事でしたら、修理が必要となります。しかし、メーターをメーターとしてのみ使用しているカメラは外付けのメーターを使用するなどで代用できることはできます。ですが、コンパクトカメラのメーター不動は致命傷です。コンパクトカメラは多くの場合そのメーターを使い写真がきれいに撮れるように動いてくれるのです。

私からは、

メーターが動かない。修理が必要?

メーター不動の場合は修理が必要になります。

一度点検をお勧めいたします。

まとめ

僕個人的な意見としては長年眠っていたカメラですと、95%くらいの確率で正常には動いていないです。

・シャッターが切れてもシャッターのスピードがおかしい。

・メーターが動いても精度が全然出ていない。

・シャッターが切れている音がしているけど切れていない。

などなど

点検をしてみないとぱっと見ではわからないことが多いです。だからこそ、一度点検、修理をお勧めします。

フォームやLINEからお気軽にご相談ください。

お待ちしております。

1/1 repairer ハヤシ ショウタ

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