僕がフィルムを使う理由

こんにちは。1/1filmのハヤシ ショウタです。

(今回の文章はnoteで既に公開しているものをHP用に編集したものです。)



僕は梅雨に入る前に、山陰地方を一人で旅行していました。

目的地は植田正治写真美術館です。何故か昨年くらいから植田正治さんの写真を見る機会が多く、なんとなく引き寄せられているように思えて、行ってみることにしました。
(GW全然休んでなかったのでその振替を1日使いました。こうして自由に行動できるのは一人で仕事をすることの良いところですね。)

初日に鳥取砂丘に行き、翌日は美術館に長めに滞在して、そのまま京都に帰る予定でしたが、写真美術館に展示されていた多くの砂丘の風景を見ていると彼が何度も撮影した砂丘をもう一度見たくなりました。

昨日砂丘を上ったダメージを受けている僕のふくらはぎが行くことを拒絶していますが、今回はふくらはぎの意見は無視して再び砂丘に向かったのでした。

https://www.houki-town.jp/ueda


そこには前日に見た砂丘とほとんど変わらのないただただ広い砂丘があり、砂丘は砂丘のままでしたが、どことなく植田正治のベールを纏った砂丘を見る事ができた気もしています。

謙虚な写真家が愛した光景を時代は違えど目にできることはとても恵まれているようにも思えます。
(都市の中では景色は大きく変わり、同じ場所で誰かが昔に見た風景を見ることは難しいですからね。)

鳥取砂丘の上の方でぼーっと座っていたときに手元にあるNikon F2をみて、僕がなぜフィルムを使うのか自分なりに言語化してみようと思いたちました。

なぜかはわかりません。

でも、そのふと浮かんだ過去の自分の考えを尊重し今回noteを書きたいと思います。なんだか突拍子もないですね。

使用フィルム

写真家でもない僕が何のフィルムを使っているかなんて皆さん微塵も興味がないとは思いますが、自分の状況として書いておきますね。

あまり僕はいろいろな種類のフィルムは使わず、一つのフィルム(HP5 PLUS)に絞って撮り続けています。モノクロはペースとしては年間15〜20本くらいのペースだと思います。多過ぎず、少な過ぎずそんなところではないでしょうか。

ここにカラーが数本入るので年間20〜25本くらいのペースだと思います。

https://ilford.co.jp/photo/product/hp5-plus

使うのはモノクロが大半なのでフィルムのこの色味が!とか、デジタルに出せないフィルムのそういう質感!というのを僕は詳しくわかっていません。

同じフィルムばかり使うので色々なフィルムを比べて楽しんだりしているわけでもありません。(時々はやってみますが、、)

この使用状況を見て、それならフィルム使わなくてもいいんじゃないか?と思われるかもしれませんね。

では僕がなぜこうもフィルムカメラを使い続けるのか。理由としては大きく二つあります。

自分を自分の手で鳥かごの中に閉じ込める

僕がフィルムを使う一番大きな理由は自分を自分の手で鳥かごに閉じ込めるように自ら制限をかけることができるからです。

なんだか変な切り口の始まり方ですね。

いつだったか、真っ白な画用紙を渡されてそこになんでも自由に描いていいよ。と言われて僕は何も描けなかったことがあったような。

これが夢なのか現実にあったことなのか今ではその記憶がとても曖昧で分かりませんが、もしも今、同じ状況が目の前にあれば僕は同じく線1本すら描けない気がします。多分その紙に1本でも線が描かれていたのなら僕は何かを描けるかもしれない。

生きていて自由を求めていると思っていたけれど僕はもしかするとある程度の自由と併せて不自由さも求めていたのかもしれません。

この経験?夢?から何かしらの不自由さや制限というのは僕のことをほんの少し動かしてくれることに気がつきました。

そしてその必要な制限が今の自分にとってはフィルムなのかもしれないと思っています。

人間らしさが何なのかは知らないけれど

フィルムで写真を撮ることは時間もお金もかかります。

でも僕たちはそういう時間がかかったりお金がかかったりすることをデジタルに頼って手放して、少しずつ空っぽになっていってるような気もしています。

みんな便利になることを望んでいるけれど、その便利さというのはどことなく意味を履き違えていている様に思えてならないんですよね。

プロセスを省くことは僕たちの幸せなのか。プロセスを経ることが僕たちの幸せなのか。そういったところよくわかりませんが、なんとなく僕は後者な気がします。

便利という名前で失ったプロセスの中に自分が表現できる丁寧さ人間らしさみたいなのが含まれていて、そういった大事にするべきかことがフィルムを使うことですこしずつ取り戻せるような気もしています。

おそらくこれがフィルムを使う最も大きな理由だと思います。

ある程度の制限を求めて、便利さから離れることが僕には少し心地がいいから、僕はフィルムを使います。

フィルムを使う理由はなんだっていいと思います。使う理由も楽しみ方も人それぞれです。SNSの意見は忘れて自分の思うままにフィルムを使ってほしいと京都の片隅にいるフィルムカメラ修理人は常々思っています。

書き終えて

なんだか自分でも何が言いたいかいまいちわからない文章が出来上がりました。ただただ自分のフィルムを使っている理由を書き起こしただけになりましたが、同じこと考えてたよ。とか何言ってるか1ミリも理解できないとか、いろんな意見があると思いますが、そんな感じでいいでしょう。

このnoteを読んでフィルムカメラを使ってみたいという人が居るのだろうか、いや、居ないだろう。というのが今ここまで書いてみての感想です。(啓発セミナーじゃないからいいか。)

Photo by Kanamaru.

こんな感じで僕はフィルムと付き合っています。
いろんな楽しみ方を理解しあえるのならば、それは素晴らしい事だと思う。

fin